とんがらしさんと再会したいきさつ

 数年前のある晩、多忙な母である私はいつものように同時にあれこれ(夕飯を食べたり、子どもに食べさせたり、テレビを見たり)こなしていました。すると特に注意して見ていたわけでもないのに、テレビに映る薄ピンクのスーツを着た女性が私の目を引きました。「この女の人、知ってる。」とつぶやく私。頭の中の検索機能はさびついていて、テレビの中で障害者のきょうだいについて語る女性と高校時代水泳部にいた同級生をマッチさせるのに数秒を要しました。そして次の瞬間、子どもたちに向かってさけんでいました。「この人、お母さんのお友だち、とんがらしさんっていうの!」私は急いで高校の卒業アルバムを取り出し、15年も昔の彼女の電話番号をダイヤルしました。運よく電話はとんがらしさん自身に通じました。このようにして、卒業以来音信不通だったとんがらしさんに。

 再会以来、彼女から学ぶことは多く、「高校時代にきょうだいの立場について話してくれていたら・・・、そういうチャンスを与えてほしかった。」と思わず言ったことがあります。でも彼女にとってはそういうことを人に話すには乗り越えるべきものが多くあったのだそうです。私にとっても、脳性マヒの長男にいろいろな意味で育てられた後にとんがらしさんに再会できて、かえってよかったのかもしれません。

 先日、自閉症のお子さんを持つ母親から「きょうだいに関するよい情報があるから、ぜひ見て。」と、とんがらしさんのホームページを推薦されてしまいました。「このホームページの作成者は実は私の友人。」と告げたときの誇らしかったこと! 一生かけても誇りに思える友だちはそうたくさんはつくれないと思うので、とんがらしさんを再発見できたことはいくら感謝してもし足りません。

講演会とシブショップ

 通訳の仕事を始めたときから、障害者福祉の分野で仕事をしたいと願っていましたので、9月7日は私の夢がかなった日と言えましょう。まず「講演会」。ドンさん、アンさん、とんがらしさんが、いかに素晴らしい方々かは皆さんご存知のことなので、ここでは割愛させていただきます。私が強調したいのは、この日の聴衆の質の高さです。講演会の通訳は何回もしましたが、かつてこんなに熱心な聞き手に恵まれたことはありません。皆さんうなずきながら、ノートを取りながら、前のめりに聞いていらっしゃる、その態度に圧倒されました。あれだけの人数で居眠りしている人が一人もいないということも(そんなの当たり前と思われますか?)驚異的なことです。それだけ切実な思いで皆さん参加されていたのでしょう。その思いに応えねばと必死で通訳しましたので、講演会が終わってどっと疲れが出ましたが、気持ちのよい疲れでした。でも、私に至らない部分がありましたらごめんなさい。

次の日の「シブショップ」デモンストレーション

 9月8日(土)は、私の良き相棒、西さん(某総合研究所の社内通訳さん。他の障害児関連の通訳ボランティアでもご一緒しています。)と2人で通訳をしました。西さんがドンさんの発言を通訳し、私が子どもたちの発言を通訳するという案配です。実は子どもの通訳をするのはこれが初めてだったのですが、どの子の話も明確で、のらりくらりのビジネスマンの発言よりはずっと通訳しやすかったです。始めはコチコチだった子どもたちが、みるみる仲よくなるのが印象的でした。一人一人の子が今も心に残っています。

後日談

 息子の通う障害児学級のクラスメートのお母様2人が講演会に来てくださいました。そして去年12月、地域の知的障害児の親の会をベースにきょうだいの会を催し、そこに9人の中高生が集まりました。話ははずみ、会の後で皆でボーリングに行ったそうです。確かドンさんによると、ティーンエージャーの会は「きょうだいのことを話すなんてカッコ悪い。」という理由でうまくいかないことが多いとのことでしたが、上記のケースはうれしい例外だったようです。

-戻る-